外反母趾(がいはんぼし)とは、足の親指が付け根から外側(小指側)方向にに変形する病気です。他の病気と大きく異なるのは、人間が本来もっている自然治癒(ちゆ)力や回復力では症状が改善することが無いということです。一度なってしまうと自然に治癒することは無いばかりか、適切な治療を行わないと症状は進行する一方です。特に、ハイヒールなどの足先に体重が掛かる靴を無理に履き続けていると、やがて歩くことさえ出来なくなり、手術を余儀なくされることもあります。患者は圧倒的に女性の比率が多く、男性の患者は一割程度ですので、女性が成りやすい病気ともいえます。これは、女性の方が間接が柔軟なことと、間接を包みこむ筋肉も男性に比べると弱いため足が変形しやすいことと、ハイヒール、パンプスなどの足先に体重が掛かりやすい靴を履く機会が多いという原因があります。外反母趾かどうかを調べるためには、整形外科を受診するのが一番ですが、自分である程度の目安として調べる方法があります。紙の上に立ち、体重が掛かった状態で親指の付け根から踵の内側のラインと、親指の付け根からつま先までのラインを鉛筆などで書き込みます。二つのラインが15度以上であれば可能性が高いので、整形外科などの病院を受診したほうが良いでしょう。自己診断では角度が大きめに出ますが、専門家の診断を受けて早めに予防をした方が良いのは言うまでもありません。ちなみに角度が20度までは軽症、40度までは中程度、40度以上は重度ということになっています。紙と鉛筆と分度器があれば簡単に出来ますので、是非一度ご自宅で試してみて下さい。

外反母趾の予防と靴

外反母趾は放置すると症状が進行するという性質があります。これは、二足歩行をする人間の足は、常にすべての体重が掛かっている箇所であり、歩行することによって体重の数倍の衝撃を受け止めている人体の中でも過酷な部位であることが原因です。たとえヒールの高い靴をやめて幅の広い靴や素足で歩いていても、一度緩んだ関節は負担が集中しやすく、進行を止めるためでも適切な治療を行わなければなります。主要な原因はヒールの高い靴にありますが、どうしてもハイヒールを履く必要がある人の場合には、少しでも症状の進行を押さえる為にちょっとした工夫が必要です。まずは靴の選び方です。もちろんヒールが低いに越したことはありませんが、それとは別に、靴を履いてみて足が滑りにくい、足先にゆとりがある、足首にストラップがある、等がポイントです。足が滑りやすいと当然足先は靴の先端に向かって落ち込んでいき親指が内側に圧迫されてしまいます。そして、もう一つ重要なポイントは、ハイヒールを履いたらなるべく立たない、歩かないことです。踵の高い靴は実用品ではなくファッションの為にあります。移動の際はヒールが低いウォーキングシューズやパンプスなどを履くなどの工夫が必要です。履く時間を短くすることが外反母趾の予防になります。また、外反母趾だからと言ってやたらに幅の広い靴を履く人がいますが、これは却って逆効果になることがあります。間接が緩んでいると足全体が広がりやすくなっているので、靴による締め付けが無いと偏平足になってしまうこともあります。

靴選びと治療療法

外反母趾を予防するには、普段から自分の足にぴったりあった靴を履くことが重要です。その為には、靴を選ぶ際にはシューフィッターがいる靴屋を選ぶと良いでしょう。普通、靴を買う際にはデザインとサイズだけを見て買いますが、本来靴を選ぶ際には足の長さだけではなく、幅と甲の高さ、親指の長さなどによっても選択をすることが重要です。これらのことを素人が判断するのは不可能に近いので、専門家に任せた方が無難です。シューフィッターは百貨店などの靴売り場や、シューフィッターのいる店などと宣伝をしている店ならばまずそれなりの知識を持っている店員がいるはずです。ネットで検索してみるのも一つの手段です。一方で、既に外反母趾になってしまった場合は、進行を止めて症状を改善するために保存療法を行います。この段階になると重要なのは靴と装具による保存療法と運動療法です。靴選びは外反母趾の予防と同様、専門家に足にあった靴を選んでもらうことから始まります。親指の付け根がこすれて傷む場合は、ストレッチャーなどで変形させることになります。当たるからといって大きすぎる靴を選んではいけません。外反母趾の装具には足底板というものがあります。これは靴の中敷のように使用し、足にかかる体重を調整したり、土踏まずのアーチをサポートする働きがあります。運動療法には、力をかけて指を外側に曲げる方法と指の筋肉を鍛える方法があります。いずれも、誤った方法で行うと却って危険ですので、病院で診断を受けて症状の程度に有った運動療法を教えてもらうのが良いでしょう。